「おい、ノート貸せ」


「小テストあるからダメ」


そう言ってあいつは俺から視線をそらした。


真っ白な手には、真っ赤なノートが握られている。


「じゃあ見せろ」


「だからぁ、小テストあるからダメ」


「見せろ」


「もー……。わかったよ」


そう言ってあいつは嫌そうな顔をして、俺にノートを差し出した。


「……やっぱ、いい」


俺はノートをあいつに返し、その場を立ち去った。


テストなんてどうでもいい。


そう思いながら自分の座席へと戻る。


テストなんてどうでもいいんだ。


俺には。