未来のない優しさ




「僕まで送ってもらってすみません」

へらへらと明るく笑う孝太郎を後部席に乗っけて、健吾の車は夜の道を走っている。

私と健吾の住むマンションから徒歩5分ほどで孝太郎のマンション。

『乗ってく?』

と当たり前のように声をかける私に、目を輝かせる孝太郎と、軽く苦笑する健吾の表情が対称的で笑ってしまった…。

住宅地を抜けて、窓から入る夏の匂いを心地好く感じていると

「…あの、野崎さんって柚ちゃんの彼氏ですか?」

はぁっ?

聞いた瞬間息がとまる。
ストレートな言葉に戸惑いながら振り返ると、普通に笑ってる孝太郎。