『柚ちゃんっ』 大きな声に振り向くと、俺に向かって走ってくる柚。 飛び込んできた柚は、痺れるほどの言葉を告げた後、俺の腕の中で気を失った。 何度呼びかけても身動き一つしない柚を抱きしめて、ようやく手に入れた宝物がこの手からこぼれ落ちていく恐怖に呆然とした。 「柚…柚…」 呟く俺の隣に座り込んだ葵ちゃんと相模さんが救急車を呼ぶ声に感謝しながら、柚を抱きしめて震えていた…。