未来のない優しさ

くくっと笑ってる相模さんの後に続いてエレベーターをおりると

「システム業界の女王様が、戸惑う顔なんて初めて見た」

…私の事?

「私は女王様の顔した柚ちゃんなんて信じられない」

葵ちゃんと相模さん二人で笑いあいながら歩く後ろをついていくうちに、ほんの少し気分も上向きになってくる。

同じ悲しみを味わって苦労して、お互いの生き方を見てきた葵ちゃんと私。

そんな葵ちゃんの言葉は私にとっては大きな力になる。

自然に浮かぶ微笑みを我慢しないで、目指していた部屋の前に立つと。

今通り過ぎてきた廊下の向こう。
客室の一つのドアが開いて、中から人が出てきた。

何気なく見ている私の鼓動が跳ね上がって、動けなくなる。

聞こえるのはとくとくっとうつ自分の緊張感…。

「なんで…?」

私の視線の先には…客室から出てきた健吾と…笑いあう望さんの姿…。