未来のない優しさ

「5回も着替えてたらゆっくり楽しめないね…」

ぼそっとつぶやくと、相模さんが苦笑いしているのに気づいた。

「もしかして、相模さんが…」

「大当り。恭汰がどうしてもって。
意外に派手な披露宴をしたいみたいでびっくりでしょ」

相模さんの腕に手を置いてからかうように話す葵ちゃんは。

ふふっと笑って幸せそう。

「柚ちゃんも年末でしょ?これからドレス選ぶの?」
「そうね…。

とりあえず5回もお色直しはしないって事は決まってるけど」

健吾の気持ちはきっと和装のみなんだろうけど、
私はドレスも着たい。

体にある傷痕は気になるけど…健吾に綺麗に変身した私を見せたい…。

「…そろそろ行こう」

それまで葵ちゃんの様子を見守るだけで、あまり話さなかった相模さんが立ち上がって葵ちゃんの手を取った。