未来のない優しさ




とりあえず、大和君と華穂の結婚をお祝いしつつも微妙な温度を感じていたせいか酔えないままお開きになった。

どちらかといえばお酒には強い私には物足りない。
家には置いてないからなあ。
家の近くで飲みなおそうか…。

ぼんやり考えながら店を出た途端に携帯の音が聞こえてきた。

私だ…。

鞄から取り出して確認すると

「…健吾…」

つぶやいた声に、その場にいた三人の視線が集まってしまって居心地か悪い。

「ちょっとごめん」

気持ち少しだけみんなから離れて電話に出ると、いつ聞いても鼓動が跳ねてしまう声が聞こえてきた。