未来のない優しさ

「さっき電話くれた時…
望さんがミックスサンド買ってるって言うのが聞こえたから」

「ふーん。で、気になって眠れなかったって?」

「…そんな事ないけど…」

くくっと笑うと、腕がつかまれて一気に引き寄せられた。

「な…何…?」

気がつくと健吾の胸に抱かれていた。
背中に回された腕に力が入って身動きがとれない。

「健吾、苦しい…」

顔を動かして大きく息をすると

「…」

突然感じる甘い香り。
何度か…望さんとすれ違いざまに感じたことのある甘く優しい香り。

健吾の体から微かに届いた切なさが、私の動きを止めてしまう…。

「どした…?」

固まった私に気付いた健吾。
瞬間緩んだ腕から抜け出してソファの下に座り込んだ。