未来のない優しさ

そろそろ昼休みも終わりそうで、仕事に戻ろうと席を立った瞬間。

「柚っ」

目眩がして、テーブルに両手をついてしまった。
少し気分も悪くて体がぐるぐる回ってる感覚。

「大丈夫…。貧血だと思うから」

「真っ青だよ。医務室で
休んだほうがいいよ…」

駆け寄って支えてくれた華穂は、私を椅子に座らせると

「孝太郎に連絡しとくから、このまま医務室行こう」
心配そうに私の顔を見つめた。

「…大丈夫。しばらくじっとしてれば治まるから」

笑う私の顔色はどんなだろう…。
貧血なんて慣れっこだから、あまり心配かけたくないな。

「…孝太郎への引き継ぎも今日で終わりだから。
もうひと頑張りしなきゃ」

「柚…」

明るくふるまっているうちに、体のつらさにも慣れてきて、多少だるくても、目眩がしてもそれが当たり前に感じてしまった体。