未来のない優しさ

「大和君もおめでとう」

向かいに座ってる様子は淡々としていて、何だか他人事のように私達の話を聞いてるだけ。

「…ねえ、照れてる?」

何も言わない大和君の顔を覗き込むと、曖昧に笑う瞳が揺れていた。

心底幸せを感じている表情には見えなくて、戸惑ってしまう。

「…結婚式には柚も来てね」

じっと大和君を見ている私に、やけに明るく声をかける華穂は普段以上の笑顔。

私のグラスにビールを注ぐ指が震えているように見えるのは気のせい…?

「…華穂…」

ふとつぶやいた大和君の言葉を遮るように

「もっと何か頼もうか。ね、メニュー見せて」

かすれた声はまるで泣いているように聞こえた。

メニューを見ながらぶつぶつ考える華穂に違和感を感じて大和君を見ると相変わらず曖昧な瞳の大和君。