未来のない優しさ




「…で、結婚するんだ」

「そっか。奇跡って起こるもんなのね…。
高校時代の彼と再会して結婚…。
ドラマみたい」

信じられないような顔をする華穂だけど、その目は夢心地で嬉しそうに笑ってくれている。

なかなか体験しない悲しい日々を送ってきた後、人並みに仕事をするようになって。
私の傍らで体調や精神の浮き沈みを気にかけてくれている大切な親友。

本当なら、大和君の事で気まずくなってもおかしくないのに今でも変わらずに私を気にかけてくれるのがありがたい。

「結婚式には来てね…。
できればスピーチも…」

「もちろん。
きっとマスコミもくるだろうから気合いいれて行くし。
話題の葵ちやんも呼ぶの?」

「うん。葵ちゃんの結婚式にも呼ばれてるからね。
相模さんと一緒に来てもらおうかなって」