未来のない優しさ




「結婚する事にしたんだ」

残業で遅れてしまった居酒屋に着くと、大和君と華穂。
和室にこじんまりと座って飲んでいた。

そして何故か後輩の孝太郎がいた。

「飛び入りで~す」

明るい孝太郎の笑顔の隣りに腰をおろした途端に注がれるビールを飲み干していると、照れながらも嬉しそうに告げる華穂。

普段あまり表情を変えたり気持ちを出さない華穂のそんな赤い顔初めてみた。

「そっか。おめでとう。来月の異動がきっかけになったの?」

「うん。そろそろしたいなって思ってたし」

「だね。もう三年以上付き合ってるし。おめでとう」

穏やかに温かく付き合ってきた華穂と大和君。
華穂も海外事業部の仕事 がかなりハードでなかなか二人が寄り添う機会に遭遇しなかったけど。
ちゃんと愛を育んでたのね。