「長い間黙っててごめん」

本当に…。

あの事故直前の秘密。

私と美晴ちゃん二人で抱えていた苦しみ…。
特に美晴ちゃんにとってはかなりのつらい日々を抱えて。
ただがむしゃらに私の為だけを考えて生きていた。

「何回も言ったけど…。

美晴ちゃんは悪くないから。

私が…悪かったから…」

切ない想いを心の片隅に押しやって、呟く言葉に
健吾はただ苦笑しながら頷いた…。

「…柚も、悪くないさ」

そう…誰も悪くない。

あの事故で、たくさんの人の苦しみと涙が溢れて
それまでの生活が一変したけれど…。

私は誰も責める事ができなかった。
責めるとすれば…自分自身だと追い詰めて、更につらい気持ちを背負ってしまった。

それでも…美晴ちゃんが
自分自身を取り戻せたら
私のつらい気持ちも楽になる…。

秘密は秘密のままにしてはいけない…。