未来のない優しさ

俺の間近に立って一気にまくし立てる美晴の目は潤んでいて、その言葉が
勢いだけじゃなくて本気でそう思ってるんだと伝わってくる。

兄として、ここまでの感情を妹に持たせた事に、心が痛む。

「柚ちゃんの優しさにつけこんで結婚までひきずりこむなんて最低だよ」

「…美晴。

俺と柚がお互いを必要としてるんだ。

今まで苦しませた以上に幸せにするから」

淡々と言う俺の言葉が、どのくらい美晴に伝わったのかはわからない。

もしかしたら、わかってもらえる日はこないかも
しれない。
諦めもある…。

それでも。

「柚とは離れられないんだ」

長い長い間、柚と離れて苦しみ苦しませてきた過去があるから…。

「手放すつもりはない」