未来のない優しさ

待受画面に映っているのは、髪をおろして化粧もしていない望。
普段の取り澄ました笑顔と違って、崩した笑顔がかわいい…。

望の肩を抱いて、穏やかに笑っている男性も、心底幸せそうな表情を隠そうともしていない。

「…格好いいな。
恋人か?」

「もちろん。
健吾の事は…やっぱり
怒られたしいっぱいお仕置きされた。

それでも…私を手放すなんて考えられないって。

これから彼一人を愛していくなら、私の過去もみんな受け入れてくれるって」

思い返すようにゆっくりと話す望は、まるで初めて見る女だ…。

俺の側にいても幸せにはなれなかった…。
俺にそれを求めようともしなかった。

本当に愛している恋人とわかりあえない苦しみを忘れる為に、俺にすがっていたけれど。