未来のない優しさ

え…?

心臓が止まりそうだっていうのはまさしく今の俺の状態を指すんだろう…。
瞬きすらとまり、じっと望を見つめるしかできない。

俺との事に気付いてた?

その事実はとても大きくて…。

「大丈夫なのか?
やばいなら俺、彼に話して頭下げてもいいぞ」

身を乗り出して思わず出る大きな声にも構わない俺に、望の体もびくっと固まった。

やがて、体が徐々に緩むのと同じように表情も柔らかくなっていくのが
わかる…。

ふっと笑うと

「…やっぱり男前だね」

「は…?男前なら…愛してない女を抱くなんてしないだろ」

「私も…同じ。
愛してない男に抱かれてたんだから」

くすっと笑うと、ポケットから携帯を取り出して開くと俺の前に見せた。

「昨日撮ったの」