未来のない優しさ

細められた目は健吾への深い友情。
緩やかに上がった口角は
安堵感…?

「大学からしかあいつを見てないけど。
自分に無理して…他人に
優しくしないんじゃないかって感じてたんだ。
たまに気をつかったり遠慮したりすると…

はっとしたように…辛そうだった。

自分はそんな事するべきじゃないって思いこんでるみたいで…」

何も言えない…。
そんな健吾に変えてしまったのは私のせいだから。

あの事故の後、私の消えた毎日を…後悔、謝罪、
責任…どんなに悲しい心で生きていたのか。

「…結婚式場を見たいって今週電話があった時に、
柚さんの事故の事と、体に残ってる傷痕の事を説明されて」

「…」

「衣装合わせの時に、係の者がその傷痕について触れないように事前に伝えてくれってきつく言われたよ…」