未来のない優しさ

「華穂さんが…こないだ迷惑かけたお詫びに、晩御飯作ってるから柚ちゃん連れて帰って来てって。
さっきメールきたんです」

まだ自分のものになった訳じゃないのに、華穂の事を話す孝太郎の言葉には、隠しきれない嬉しさが表れている。

できれば、このまま二人がお互いになくてはならない存在となって、孝太郎のこの笑顔が本物になればいいなと思う。

華穂にとっても、孝太郎のまっすぐな想いが、長い間の寂しい…待つばかりの恋愛を過去のものへと変えるほどの安らぎになれば…。

そう願うけれど。

人の心を動かすなんて。

恋愛も人生も、自分で折り合いをつけて、自分で未来を作っていくしかない…。

だから何も言えない。