未来のない優しさ

ぶつぶつ呟く健吾の傍らで眠りにつく事のできる幸せ。

華穂と孝太郎…そして大和君にも、同じ幸せが
訪れる事を願ってやまない。

「健吾…。ごめんね」

「ん?何が?」

相変わらずぶっきらぼうな言葉に苦笑してしまう。

「私の人生に巻き込んでしまって」

「お前…まだそんな事言ってるのか?」

胸元に回されていた手が一瞬離れて、そのままあっという間に健吾の正面に向かい合う。

「お前の人生と俺の人生は、この先ずっと一緒だ。
今までを悔やもうが泣こうが未来にはもう離れるなんて選択肢はないから」

かなり力の入った腕で両肩をつかまれて、健吾の気持ちの強さも感じるけれど

「さっきの孝太郎みたいに気持ちぶつけられた華穂は…好きかどうかだけで孝太郎を受け入れる事できるけど、
私はいつ壊れるかわかんない体の事があるから」