未来のない優しさ




それからしばらくして、
自宅から車をとってきた孝太郎は華穂を送っていった。

結局華穂が孝太郎の気持ちを受け入れるのかは
わからないけれど、大和君との時間が終わった今、孝太郎の大きな愛情は
支えになると思う。

本気で驚いた展開だけど
とにかく華穂が幸せになるよう願うだけ。

それにしても、孝太郎
格好良かったな…。

そう思った途端、ぐいっと頬をつかまれて引っ張られた。

「い…いひゃい」

慌てて逃げようとしても、背後から回った腕に
はがいじめされて身動きがとれない。

健吾の体が私の背中に
ぴったりと合わせられて
首筋にかかる吐息を妙に色っぽく感じてしまう。

クーラーが苦手な私に合わせてくれる健吾に甘えて、天井に向けて回す扇風機の風だけの部屋の温度が更に上昇したような…。