未来のない優しさ

「大和さんと別れたなら
もう遠慮しません。

夕べは抱いた後…大和さんにも罪悪感を感じたけど、そんなの捨てますから。

華穂さんが側にいてくれるまで、俺はひきません」

「無理だよ…。

孝太郎が辛いだけだもん
夕べは…寂しくて逃げちゃっただけ…」

孝太郎の腕の中で呟く華穂の言葉に、呆然と固まってしまった。

夕べ抱いた…

華穂と孝太郎が…?

「あ…あの…二人は…」

しどろもどろに問いかける私は驚いているけれど、部屋に帰って来てからのいくつかの疑問が解けた安堵感も一緒に感じていた。

玄関のパンプスが華穂のものだとすぐにわかったし

華穂に寄り添う姿があまりにも自然だし

なにより、孝太郎の側に自然と守られている。

抵抗なく孝太郎を受け入れてる華穂に、納得してしまった。