未来のない優しさ

思わず華穂の側に膝をついて、肩に手をやると。
華奢な体が更に小さく感じる。

私を見上げた華穂は、潤んだ瞳をカーペットに落としたまま苦しそうに息を吐いた。

「もっとずるいのは…。

大和君から離れて寂しくて…逃げちゃったんだ。

私が味わってる同じ辛さを…寂しさを…与えるってわかってて…逃げたの」

「…え?何の事…?」

華穂の言葉がわからなくて、戸惑いながら覗き込んだ瞳から…涙が流れていた。

ずっと我慢しながら話し続けてくれていたのに…。

「華穂…」

そっと体を寄せて抱きしめようとした…。

けれど。

すっと出てきた孝太郎の腕が、華穂を体ごと奪うように抱き寄せた。

え…?