未来のない優しさ

｢更に綺麗になった柚を
やっぱり大和君は諦めるなんてできなかった。

それでも好きだから。
柚の次に…

二番目でもいいって思ってたけど…

綺麗な柚を見てたら、
そんなの無理って気付いた。
私だけを愛してくれる人じゃないと、幸せにはなれない…
そう納得したから

別れたの｣

涙は流れてないけれど。

華穂が泣いてる。

小さく体を震わせる姿は
とても悲しそうで、まだ大和君を愛してるって体全体で叫んでるみたい…。

一途さが体いっぱいに充電されていた長い時間。

大和君へ想いは簡単に
ふっ切れないと感じる。

私がずっとずっと健吾を忘れられなかったように。
愛する気持ちはそう簡単には消せないから。

自分も経験しているから、華穂の悲しみの深さがわかる。
私も同じように泣きたくなって目の前が滲んでくる…。