未来のない優しさ

私が何か言おうとしても、なんだかそれを拒むような視線を感じて口を閉じてしまう…。

「柚一人に好かれるだけで…柚一人を大切にするだけで幸せだったのにな。
八方美人なあの頃の性格が…全部ダメにしたんだ」

沈んだ声に、健吾の抱えていた葛藤を感じてしまって切なくなる。

高校生の健吾は。

八方美人なんかじゃなくて本当に周りに気を遣う優しくて…好かれて当たり前の性格だったのに。

善の部分を否定して、あの頃の自分を悔やむ姿を見せつけられて…。

事故で何度もあじわった

『私の人生って何?』

そんな思いが浮かぶ。

「…健吾の優しい顔が好きだったよ。

みんなから慕われるの…自慢だった。

だから、私が好きだった健吾を否定しないで」