未来のない優しさ

「そんな大した人間じゃない。
あの頃も今も」

「…ううん。健吾はみんなに好かれてて…人気があったよ」

私の言葉にも健吾は心を動かした風でもなく、沈んだ声が耳元に聞こえてくる。

肩にうずめられた 表情が見たいけれど、何だかじっとしたまま動かない方がいいような気がする。

「そう思われたかっただけ。
誰からも好かれたい単なる八方美人だっただけだ」

「八方美人…」

「成績良くて教師から受けが良くて…バスケも全日本代表候補だったしな。
女の子にも人気があって…」

人なら誰もがそうなりたいって望むほとんどを叶えていたあの頃の健吾。

なのに、それをいい思い出として語ってるとは言い難い口調に戸惑ってしまう。