未来のない優しさ

「あ…。健吾…」

心臓がばくばくと音を立てて、他に何も聞こえなくなる。

「やだ…。大丈夫なのに…」

マスコミなんて…記者なんて…。
どんなに追いかけられても写真撮られても。

「大丈夫…大丈夫」

そうつぶやいて。
襲ってくる不安をどこか遠くに消そうと目を閉じる。

「柚?どうした?気分悪いのか…」

私の肩を掴んで…殆ど叫ぶみたいに尋ねる健吾の声が…じんわり私の体に染みてくる。

荒くなる呼吸が健吾の不安を更に煽るのがわかって、大きく息を吐く合間に笑ってみせる…。

「すぐに治まるから大丈夫…。
お願い…ぎゅっとして。
抱いてて」