未来のない優しさ

俺の手の届く距離に、柚がいるだけで緊張感が消えていく…。

ソファの側に座り、額にかかった髪をそっとかきあげて…見慣れた傷痕に口づける。

二度と辛い想いはさせないと心につぶやきながら。

…ん?…薬?

近くにあるローテーブルの上にあるのは薬袋。
柚が寝ているのをちらりと見て…そっと手に取った。

粉薬や錠剤…。
何種類か入っている。
日付は昨日…。

昨日、病院に行ったって事か…。
確かに体調は悪そうだったけど…。

そんなに悪いのか?

『今もこれからも、柚ちゃんの医療費は全て出すから…』

帰り際にそう言った高橋社長の言葉を思い出して、不安が溢れてくる。

まだ体は万全じゃないって事なのか…?