未来のない優しさ

｢…それと同じで、結婚する事だけが幸せだとも思わないけど。

柚ちゃんは、好きな人と結婚したいタイプだし｣

どう？そうでしょ？と
視線が問いかけてくる。
子供みたいに笑いながら、優しく頭を撫でるその手は温かく柔らかくホッとする…。

｢子供が産めなくても、柚ちゃんが引け目を感じる事ないのよ｣

そう。引け目を感じて、女として失格なこの体がたまらなく嫌だった。

その反動で、料理も勉強して…。
掃除も手を抜かず。

家事一般完璧にこなせるようになった。

仕事が忙しくても、女としては落第の体をカバーするかのように。
どんなに疲れていても家事だけは手を抜かず…。

健吾の身の回りの事も気をつかって、頑張りすぎるほど頑張ってた…。

…ホッとして…張り詰めていた気持ちが少しほぐれていく。
抱える重みのつらさが友美先生の手で和らいでいって。