未来のない優しさ

いつも強い表情と態度と言葉で私を覆う健吾の熱に甘えていたけれど、全く弱気に見える今の様子から…とにかく目が離せない…。

そして、愛しい。

「なあ柚…。大切な人を失うかもしれない恐怖を感じた事あるか…?」

「…」

「俺はあるんだなぁ…。
自分がどうあがいても何をどうしたって。
命がこぼれていく時間をただひたすらそうならないように祈るしかない…」

「…っ」

思わず側で抱きしめたい気持ちが溢れる。

心がざわざわ落ち着かなくて健吾から目がそらせない。

それでも、健吾から聞かされる言葉の重みが私の体を椅子にしばりつける。