未来のない優しさ

「む…無理って言ってるでしょ」

「何で?」

「だから…。こないだ言った…」

「柚が子供産めないのが理由なら、それは認めない」
ぐっと引き締まった表情に怯んでしまって、黙った私にたたみかけるような声は続く…。

「正直、ホッとしてる俺もいるんだ…」

「どういう事…?」

「悪い…」

椅子の背に体を預け、ぼんやり天井をさまよう健吾の視線はどこか辛そうに見える。

「柚も苦しんで苦しんで…。
今は笑ってるのはわかってるけどな」

相変わらず視線はどこも見てないまま、ははっと渇いた笑い声が部屋に響いた。

そんな不安定な姿を健吾が見せるのは初めてで、

「…健吾…?」