未来のない優しさ

起きてすぐにシャワーを浴びた健吾は、シャツだけの上半身にジーンズをはいて、ゆったりとしていた。

「急がなくていいの?」

「…裁判所に直行するし」

「そう…」

って言われても。

よくわからない。
弁護士やってる事は知ってるけど、具体的にどんな仕事をしてるのかなんて見当もつかない。

私が知ってる弁護士って事故の後で法律的な処理でお世話になった先生くらい…。

そうだ。健吾だって。

「野崎先生…?」

「はぁ?なんだよ突然」

思いついたように言った言葉は健吾にとっても意外な言葉だったみたいで、少し…照れてるような…?