未来のない優しさ




夜中に、ベッドが沈む感覚と体を優しく覆う暖かさに意識が戻りかけた。

「…健吾…?」

ねぼけたままで、その暖かさに自然に寄り添うと、そっと抱きしめてくれる。

「このベッドに、俺以外の誰が入るんだ?」

軽く笑いを含んだ愛しい声を意識の向こうに聞きながら…

疲れた体が欲する眠りに再び逆らえなくて…。

私の目が開く事はなかった。

安らぎが私を包み、夢うつつの儚いこの時が…。

ずっと続くならいいのに。