未来のない優しさ

「うん…。トラブル処理が終わったから帰って寝てたの」

「そうか…。起こして悪かったな」

部屋に戻っていると聞いて、妙に安心した。
柚が無理せずに休んでいる事への安心感もある…。

それ以上に感じるのは。

部屋という空間にいて、俺以外の男の目に止まっていないという安心感。

できるなら、一日中部屋にいて俺の帰りを待っていて欲しい…。

「…今日中には帰るから」

「ん…。待ってる…。仕事頑張ってね」

「あぁ。じゃあな」

切った後。
いつもなら

『自分の部屋に戻ったら?』

と言う柚が

『待ってる』

と言った事に気付いた。