未来のない優しさ

まだぼんやりしている柚の額に、俺の額を合わせると。
途端に恥ずかしそうに視線を落とす顔が、あまりにも愛しくて、思わずうめきそうになるのをこらえる…。

「なぁ…キスして」

「…え?」

「柚からキスして」

「な…なんで」

慌てて俺から離れようとする柚の頭をぐっとかきだいて

「…キスしないと車から出さない」

からかうようにささやいた。

「そんな…」

戸惑う柚の目を見つめながら…視界の一番隅にいる大和の存在を確認する。

「できないの?」

「…」

不安そうにそっと唇を寄せる柚。
軽く合わせるだけの温度じゃ物足りなくて

「もっと深いの」

要求する俺を、一瞬睨むと。