未来のない優しさ




柚が俺の腕の中で一生懸命応えている…。

細い体全部が俺に集中して熱くなっている…。

このまま車から出さずに柚の部屋に戻ろうか…。

きつく抱き寄せて重ねる唇の甘さが、そんな事まで考えさせる。

閉じたままの柚のまぶたに唇で触れると、ぴくん と跳ねる体。

「健吾…」

「…ん?」

「もう…行かなきゃ」

俺の首にしがみついたままでそう言われても…。

「じゃ、柚から離れろよ」

意地の悪い言葉だとわかっていても、つい言ってしまう。

…そっと目を開く瞳が、そんな俺を切なく見つめる。

かわいいな…。
離せないな。