未来のない優しさ

「じゃあ、好きにする。

柚と結婚するから」

「な…なんで…」

頑なな健吾にどう言えばいいのかわからなくて。

微かに笑いを浮かべて運転する横顔を見つめてると、

『ん?』

と優しく視線をくれる。

整った顔は、誰が見てもみとれるほどに綺麗で。

高校の時よりも幾分きつくなった目に見つめられると、心臓の音しか聞こえなくなるくらいに緊張するし…。

「やっぱり…私じゃだめだよ」

何のハンディも持ってない…健吾を幸せにしてくれる女性が似合ってる。

「ね…結婚はできないよ」

ははって笑って言えば…。
同じように笑う健吾。