未来のない優しさ

「…大丈夫か?」

ずっと黙っていた健吾の問いに、かすかに笑って。

「う~ん。頑張ります。
若い頃はしょっちゅう夜中に呼び出されてたんだけど。
久々だときついね」

明るく言う私を、ちらりと見ただけで、視線は前方に置いたまま。
街灯に照らされた顔は、何を思っているのかよくわからない…。

「柚…、覚えてるか?」

「え?何…」

含み笑いをしているようなくぐもった声。
続きを待っていると、健吾の左手が、膝の上に置かれている私の手を包んだ。

驚いてその手を見つめていると。