未来のない優しさ




午前2時の大通りを、かなりのスピードでとばしている健吾。

会社に向かう車の助手席から、私は携帯で孝太郎と連絡をとっていた。

「一課はもう全員対応をはじめてるから、孝太郎は夜間のサポートチームとプログラムの確認をして。
私ももうすぐ着くから、承認が必要な書類はすぐに回して」

『了解。6時までに復旧しないとかなりやばいですね』

「6時じゃだめ。5時までになんとかしなきゃ」

『はぁ…。じゃ、後ほど』

溜息を最後に切った携帯を鞄に投げ入れると、座席にもたれて目を閉じる。

なんとかなるんだろうか…。
聞く限りでは、かなりのトラブル。