未来のない優しさ

「わかった。もちろん行くよ。
タクシーで行くから迎えに来なくていいし、早く対応してて」

『いや…。通り道だし寄るよ』

「いいって。大和くんが承認しないと動かせないプログラムもあるから早く行って。ね」

『ん…でもこんな時間にタクシーって…』

「大丈夫だから…え?ちょっと健吾…」

背中越しに健吾の手がのびてきて、あっという間に携帯を持っていかれた。

「俺が会社に送って行くから、迎えには来なくていい」

は…?

淡々と告げるその言葉に、訳がわからず固まってしまった。

ピッと通話を切った健吾の指先を見ていた後、はっと我に返った。

取り返した携帯は既に無言。

「送ってく。シャワー浴びて準備しろ」

かなり…ひどく…最悪に不機嫌な声が降ってきて。