未来のない優しさ

「健吾…」

私から視線を外さずに見つめ続ける健吾の頭を抱き寄せて

「本当に…ごめんなさい。
杏を産んであげられなくて…。

健吾に…罪悪感を背負わせて…」

ぎゅっと抱きしめる私のなすがままにおとなしく震える背中。

「…何だよそれ。罪悪感って勝手に決めるなよ」

「うん…。ごめん。

でも、いいの…」

「いいわけないだろ」

「…っ」

大きく悲しい声が部屋に響き渡り、私の両手は健吾の両手に拘束された。

「勝手に…」

健吾が強い言葉を私に続けようとした時

サイドテーブルに置いてる携帯が鳴った。

携帯を取ろうと体を向けたけど、健吾の力が緩む事はなくて…。