金魚玉の壊しかた

私は慌てた。


今日の遊水はやけに卑屈で自虐的だった。

卑屈で皮肉っぽいのは彼らしいと言えば彼らしい気もしたが──その感情の向かい方は、私に「こんなのは彼らしくない」と思わせるものだった。


「違う! た、例え──あなたが私の裏切りを許すと言って、円士郎殿が一生許さないと言ったとしてもだよ。
私はあなたを裏切らないし、あなたの味方でいる」


ああ、自分でも何を言っているのかわからなくなったではないか。


必死な私の様子を見た遊水は、

「そうかい。そいつは嬉しいね」

と、おかしそうにくすくす笑った。


「そ、それに──」

私は何とか失態を取り繕おうと言葉を重ねた。

「幸せにしてくれない男でも、それならそれで私は別に構わないと思うぞ」

「ほう?」

遊水は金色の眉を跳ね上げて、興味深そうに私を見た。


「それならば、自分で幸せになればいいだけのことだよ」


これは本心だ。


男に幸せにしてもらおうなどと、私は思っていない。

一家の家長だったあの男が母上の幸せをぶち壊すのを見てから、思わなくなったのだった。


言い切った私にじっと真剣な目を向けて、

遊水はぽつりと、


「あんたも強い女だな」


と、言った。


「どこか円士郎様と似てる気がするぜ」


おそらく意味合いは全く違うのだろうが、いつか虹庵が私に言ったのと同じような言葉だった。