金魚玉の壊しかた

「そういうことだ」

私も、私らしくはっきり答えた。

私らしく……?
それは円士郎の前での「私らしく」なのかもしれない気がした。

私のその答えを聞いても円士郎は特に嫉妬した様子も落胆した様子も見せず、逆に私はその様に少し嫉妬した。
落胆した。

何故なのか、自分でもよくわからなかった。


円士郎はただ、少し困ったような顔を見せた。


「紹介すれば、そうなる気はしてたけどよ」と、彼は肩をすくめた。

「ただ、遊水はなァ……」

カブキ者を気取って結った髪をカシカシと掻いて、円士郎は何故なのか気の毒そうな目を私に向けた。

「やめておいたほうがいいかもしれねえ」

私は首を傾げた。

「どういう忠告だ?」

「気づいてるかわかんねえけどよ」

円士郎は上目遣いになって私を見た。

「奴は、ただの金魚屋ってワケじゃねえ」

「ああ──」

私は、
あの夜の奇妙な訪問者や、遊水が町のヤクザ者と顔見知りな上に平然と渡り合ったことなどを脳裏に描いた。

「それに……あいつには、他にも結構女がいるぜ。俺より遊んでる」