金魚玉の壊しかた

私も、何も遊水にばかり会っていたということはない。


結城円士郎もまた、私の長屋を訪ね続けてくれていた。

遊水を担ぎ込んだあの日までいったい夜な夜な何の遊びをしていたのか。あの日以降は何故かピタリと非常識な深夜の訪問は止み、彼は普通に昼間に私の長屋に顔を出すようになった。

己がこれまで出会ったどんな男よりも強く遊水に惹かれているのは感じていたが、円士郎と話すのは変わらず楽しくて、私は少し混乱した。

遊水と一緒にいると、私はどこか身構えていて、体の中心では十五、六の小娘のように心臓がドキドキと高鳴りっ放しなのに対し、

円士郎と一緒にいる時は、私は常に冷静な自分でいられるような気がした。


彼が少し剣のある切れ長の目を細めて屈託無く笑うのを見ると、遊水の、ぞくりとする笑みを見て頬が熱を帯びる時とはまた違って、

胸の辺りが温かくなるような、

こちらも嬉しくなって思わずつられて微笑んでしまうような、

そんな心持ちがするのだった。


私はもう二十歳だ。
二十歳というのは、我々の時代で言えばいい年増である。

私のような年増が、娘のように恋だの惚れただのというのも馬鹿馬鹿しいと思うが、それでも私はどうやら遊水に対しては

恋しているらしい。

ときめいてしまっているというやつだ。
これは疑いようもない。


だとすると結城円士郎に対するこの感情は何なのだろうかと私は頭を悩ませた。


彼が笑ってくれると嬉しい。
彼が訪れてくれると嬉しい。
彼を好きなのかと訊かれたら、好きなのだと思う。

しかしそれが恋愛感情と呼ぶべきものなのかわからない。


モヤモヤしたまま、私は遊水と円士郎、このどこか正反対とも思える二人の若者と会って会話を交わし続けて──