金魚玉の壊しかた

私が彼からもらった金魚は、背びれのない卵虫──つまりランチュウが二匹と、ランチュウとは異なって背びれがあり、それぞれのヒレがやや長いものが四匹だった。

遊水は、このヒレや尾がもっと長い品種をずっと作出しようとしているのだそうだ。


「それは、完成すればさぞかし優美なのだろうな」

私が長いヒレの金魚を想像しながら言うと、

「品種の名前をどうするか考えているんだが、何かいい名前の案は思いつくかい?」

遊水はそんなことを訊いてきて、私は遊水が消えていた朝に、天女の羽衣の話を想像したことを思い出した。

「羽衣とか、天女とか……って名前はどうだね?」

「ほう、羽衣に天女ね」

遊水は、悪くないねェと笑んで、

「完成したら、最初に亜鳥に見せてやるよ」

などと、またしても殺傷力の高い言葉を口走った。


つくづく女心をときめかせるのが上手い奴である。



遊水はまた、円士郎のように私の絵に興味を持つ者がいるかもしれないと言って、武家屋敷や商家を回る時に、私の絵も金魚と一緒に客に売り込んできてやろうかと提案した。

願ってもない申し出で、私は是非にと彼に頼むことにして──


それは後に、私と彼の運命を大きく変えることになる。