金魚玉の壊しかた

「金魚というのは、魚のフナから作られたものだろう?」

せっかくだったので、私は金魚について専門家の彼に尋ねたりもした。

「体の中身はどうなっているのだね? フナと同じか?」

遊水は吹き出して、

「俺も色んな客と金魚の話をして、色々質問されたりしてきたが──そんなことを聞いてきた奴は亜鳥が最初だぜ」

と、可笑しそうに言った。

「病気で死んだ金魚をさばいて中を調べたことならあるが──まあ、フナと同じだな」

私はそれを聞いて、物凄く不思議になった。

「では……では、なぜ金魚は赤いのだろうな? フナは銀色なのに、何が違って金魚は赤くなるのだろう?」

ふむ、と遊水も笑うのをやめて、白い顎に手を当てて思案する様子になった。

「俺たちはその違いを親から子に伝わる金魚の『血』、フナの『血』と呼んでいるが──確かに何が違うんだろうねェ? 血液の中の何かが違うのか……そんな風に考えたことはなかったな」


血か。

紅毛の血を引く遊水の、白い肌や金の髪──異国の相貌。


「私とあなたの髪や目の色が違うのも、それと同じなのかな」

「すると俺はフナの群れに混じった金魚かい?」


遊水は緑の美しい瞳で横目に私を見て、くすりと笑った。


「しかし何も、人間同士の違いは髪や瞳の色だけじゃあないぜ? 異国の血を引かないこの国の人間とて皆、顔や声、背の高さに体つき──違いがあるだろう」

遊水はそんなことを言って、


私は雷に打たれたような心持ちがした。