金魚玉の壊しかた

遊水は、二日ほど経つと何とか回復して起き上がれるようになった。

その間、暇を持て余している様子だった遊水と私は生き物の話をした。
円士郎が紹介したいと言った狙いどおり、私たちは話がよく合った。

「亜鳥はなぜ、このような絵を描くんだ?」

遊水は私が描いた生き物の体の中身を眺めて尋ねて、

「幼い頃、本草の書物や庭の生き物たちを眺めて──不思議だった。生きている……この点は等しいのに、どうして生き物の形はこのように様々なのかとね」

私は円士郎にも語った話を遊水にした。

「生き物の形は様々だが──てんでバラバラのでたらめというわけじゃない。頭があって目があって、手足があって……見た目では似ている部分があるだろう? だから外見だけではなくて、中身はどうなっているのか知りたいと思った。

臓腑や骨の形や位置、数……そういう中身と外見の両方を知れば、我々人間と獣や鳥、蛙や魚、虫は何が同じで何が違うのか、もっとよくわかるのではないかと考えたのだよ。

どうして我々人はこのように考え、喋るのに、犬猫とは言葉が通じないのか。彼らと何が違うのか、不思議だった。

蛙や魚、虫というのも我々と同じように世界を見て、物事を考えたりするものなのか、どこまで同じでどこから違うのか、私は知りたいと思った」

私の話を聞いた遊水はひどく驚いた顔で私を見つめた。

「そんな物の考え方を──君は自分で自然にするようになったのかい?」

遊水の返してきた反応は、虹庵とよく似ていた。

「そいつは蘭学を学んだ者の物の見方、考え方に近い気がするぜ」

今度は私が驚く。
医者の虹庵はともかく──

「遊水、あなたは……」

彼に年齢を尋ねたわけではなかったが、しばらく一緒にいるうちに何となく私よりは年上のような気がしていたので私は呼び方を改めていた。

「──蘭学についても知識があるのか?」

一介の職人が、何故?