金魚玉の壊しかた

だからこれより先、

この「教え」によって引かれた
互いの一線から先に、私たちは踏み込まず──


この境界線を超えた領分に関しては、


私は彼に何も聞かず、

彼も私に何も聞かなかった。




私は忘れていたかった。

彼は演じていたかった。




だから……そうやって作られた、偽りの世界の中で私たちは──




何も知らず──

──否。


知ろうとせずに、




ただの絵師と、金魚屋として






──見てはいけないその禁断の夢に




浸り、溺れた。