金魚玉の壊しかた

「Cen fath……」


どこかの国言葉だろうか?

いや、これはそもそもこの日の本の国の言葉ではなく──


異国の言葉……のように聞こえた。


「……Do thoil……a liom……」


何と言っているのかはわからない。


ただ、喘ぐような息づかいは不規則で、

彼が酷くうなされている様子なのは私にもわかった。

こういう時、どうすればいいのか──
私は戸惑って──


「どうしたのだ? 苦しいのか?」


──声をかけた。


「Ca……?」

彼の口が動き、またわからない言葉が飛び出す。

「何だ? 私には君が……何と言ったのかわからない」

「Ca──?」

男は苦しげに同じ言葉を繰り返し、
その右手が、何かを求めるようにさまよった。

私はとっさに、その手を握って

「ここに、いる。大丈夫だ」

そう囁いた。

すがりつくように、男が私の手を握り返して



どきりとする。



「……Ce?」


男が薄く瞼を開けて、その瞳が私を見ていた。