金魚玉の壊しかた

「ご、ごめんなさい! エンが戸を……」

続けて、美少年のほうも慌てたように謝って、

私は何だか可笑しくなった。


円士郎の連れてきた連中だから、皆非常識なのかと思ったら……

「君らは意外とマトモなようだ」

突っ立っている美少年に手伝わせて、
毒にやられているという男を板の間に寝かせて──

症状を見極めようと、灯りを手に顔を近づけたら、「へえ……!」と男は声を上げた。

「こいつは──円士郎様も隅に置けないねェ。
こんな美人の知り合いがいるとは……」

彼は私を見てそんな風に言った。
毒にやられている割には元気そうじゃないかと私は少しあきれる。

思っていたよりも若い男だった。
円士郎と同じか……いや、それよりは年上というところか。

鼻筋が通った彫りの深い少し変わった面立ちで、蒼白になっている肌は、毒のせいというだけではなく、元々色白なのではと思われた。


視線を感じて横を見て、私の顔を食い入るように見つめている美少年と目が合い──私は「ん?」と思った。

間近で見るまで気がつかなかったが、まさか……


「君は──女の子か?」


ようやく、自分の勘違いに気がつく。


男のように総髪を結った頭だったのでわからなかったが、

こうしてよくよく見れば、
長い睫毛の大きな瞳に
つややかな唇……

美少年は──少年ではなく、儚げな印象の美少女だった。

「すまんな、男かと思った」

そう謝ってから、ますます混乱した。
こんな深夜に、円士郎は寝間着姿の美少女を連れて何をやっていたのか──?

謎だらけだ。


何はともあれ、今は毒にやられた男のほうが問題だ。

私は男から症状を聞き──思わず顔をしかめた。