金魚玉の壊しかた

私たちが二人きりで城下に遊びに来たのだということを伝えると、円士郎は驚きに目を見張り、

それから何やら羨ましそうな顔になった。

「ああ、いいよなお前ら。滅茶苦茶楽しそうじゃねえかよ」

頭の中には、桜と蓮の花が好きな少女のことでも思い描いているのだろうか。


「まァねェ」と円士郎に向かってニヤッと笑って、遊水が私の肩に手を回して引き寄せた。

私は思わず赤くなってうつむいて──


「滅茶苦茶楽しそうじゃねえかよ」

と、円士郎が恨めしげな声で繰り返した。


それから、遊水は私を離して少し不思議そうな顔になった。

円士郎を待ってこれまで三舟屋の前にいたということは伝えていなかったため、何か用でもあったのかと、首を傾げた。


その横で、私は円士郎に微笑む。


「円士郎殿、墓参りの帰り道、円士郎殿の質問に対して私が返した言葉を覚えているか?」

唐突な私の問いに、ん? と一瞬眉根を寄せ、円士郎はすぐに「ああ」と頷いた。


「これで、答えになるかな?」


円士郎がキョトンとして、


私とその隣にいる金髪緑眼の男とを交互に見比べて、


満面の笑顔になった。




「ああ、しっかと見せてもらった」