金魚玉の壊しかた

そんなことを考えているうちに、後ろから抱きすくめられ、青文が首筋に顔を埋めてきた。

思わず身を仰け反らせる。

「どうした、亜鳥。言えねえようなことなのかい」

するりと着物の胸元から彼の手が滑り込み、肌に触れた。

「──っあ……」

無理だ。
答えようとしても言葉にならない。

自分でも信じられないような声が出ただけだった。

って、ワザとか!
確信犯か!
私は昨夜初めて男を知ったんだぞ?

やめてくれ。
そんな抵抗力のない私に、朝っぱらから何してくれるんだこの男は……!

私の心の叫びも虚しく──

「それともこのままお仕置きをして欲しいのかな?」

愛撫の手を止めず、
耳元でくすくす笑って、彼は片手で私の顔を横に向かせて、

「……やめて──」

動かしかけた唇を吸われる。




私は何だか色々諦めた。









しばらくいいように弄ばれて、全身の肌がすっかり上気した頃、ようやく青文は笑いながら私の身を放してくれた。

恐ろしい事に、私の着物も髪もほとんど乱されていなかった。

「だ……旦那様に手料理を、と思って、朝餉の支度をしていたのだよ」

私は何とか息と動悸を整えながら、涙目で青文を睨んだ。